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一柳和はまたしても途方に暮れていた。赤い屋根が見つからないせいである。
「おかしいなぁ……」
この夏のバイト先であるペンションはこの辺りにあるはずだった。目印は赤い屋根と風見鶏だとオーナーから来たファックスには書かれており、
目立つ外観のようなので近くまで行けばすぐ見つかるだろうと思って来たのだがどうしても見つからない。
気付けばファックスにある住所を大幅に通り過ぎ街外れまで来てしまっていた。
引き返そうと思った時、街を一望できそうな高台にある公園を見つけ、ここからなら見えるかと車を降りて来てみたのだが……。
公園は広く、端の方にこじんまりとした展望台のような場所があった。そこから街を見下ろし赤い屋根を捜したが、一向にそれらしい建物は見当たらない。
自分が思っている以上に目的地から離れてしまっているのだろうか、と手にしたファックスの住所と高速道路から持ってきた付近の道路マップを開いて確かめる。
「ここがこの公園で、ペンションはあっちだから……」
指差し確認しつつ、再び街の方へ目をやる。
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最後のショートストーリー『目を覚ますまでは』が2/28発売の『ゲーマガ』4月号に掲載されています。
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