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猫は可愛い。ふっくらまるまると太っている辺りがたまらない。しかし、そろそろ気温も上がってきて首筋にじんわり汗がにじみ始めているとなると、
膝の上に5キロはありそうな毛皮の塊が乗っかっているのは何の苦行なのかと思えてくる。
飲み残しのウーロン茶を一口流し込んでみたが、すっかりぬるくなっていて逆に暑さが増しただけだった。
「……こいつ、いつもこうなの?」
ベンチの側で何やってるの? と言いたげに和を見上げている犬に聞いてみる。犬は小首を傾げただけで答えなかった。
代わりにその向こうから笑い混じりの声が飛んでくる。
「まーた知らない猫に下僕扱いされてるー」
売店のビニール袋をぶら下げた姉が歩いてこちらに向かってきていた。
「あんたって相変わらず動物に警戒されないのねー。お、でもこの子は人見知りしないのね、よーしよし」
盛大に尻尾を振る犬の頭を撫で回しておいて、姉は朝食にしては多すぎるような気がする袋から缶コーヒーを取り出してプルトップを開けた。
半分ほど一気に飲んで、ふと姉は疑問の表情を浮かべると猫と犬を交互に見比べた。そして、意味不明のことを呟く。
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最後のショートストーリー『目を覚ますまでは』が2/28発売の『ゲーマガ』4月号に掲載されています。
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