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「どっちが三郎なのかしら?」
「へ?」
「この子達、どっちかが三郎なのよ。どっちだと思う?」
何を聞かれているのかわからず、和は呆然とさっきの姉と同じように二匹を見比べた。
猫は膝の上で、聞き耳を立てるようにぴくぴく髭と耳を動かしている。犬はなになに、何話してるのまぜてー、とでも言いたげに和を見上げている。
和は素直に、わからない、と結論を出して根本的な事を尋ねる事にした。
「えーと……その、どっちかが三郎ってどういう意味?」
「ああそっか。あんた売店には来てなかったんだっけ」
「ずっとここにいたよ。売店で何かあったの?」
「サンドイッチ選んでたら、売店のおばさんと、常連さんっぽいトラックの運転手さん――ほら、さっき出て行ったでっかいトラックの人ね。見てなかった?
とにかくその人よ――とが、話してるのが聞こえてたんだけどさ」
最初に聞こえたのは、トラック運転手の「三郎どないしてんの?」という発言だった。それに「おるよ、多分外で遊んでるやろ」とおばさんが答えた。
「どうも三郎って言うのは、もともとここにいたんじゃなくてお客さんの誰かが置いてっちゃった子らしいのよね」
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最後のショートストーリー『目を覚ますまでは』が2/28発売の『ゲーマガ』4月号に掲載されています。
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