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あの子が置いて行かれて、もう三ヶ月になる――と、おばさんが言っていたらしい。
それだけ経つのに問い合わせの一件もないからおそらく捨てられたのだろう、と。
「……ひどいなぁ」
「わたしもひどいと思ったわよ。でもおばさんの口ぶりじゃ、三郎はずいぶん可愛がられてるみたいだからさ。
そんな非常識な飼い主のところにいるより今の方が幸せかもよ」
「そうかもね」
無意識に猫を撫でながら、和は頷いた。手のひらに猫が喉を鳴らす小さな振動が伝わってくる。
かたわらに目をやると、犬は相変わらず話に参加しているかのような顔つきで尻尾を振っていた。
「でさ、この子達どっちもここに住んでるっぽいじゃない?」
「それでどっちが三郎なのかってことか」
「そうそう。この子達の他の動物って見あたらないし。ね、和どっちだと思う?」
「……こいつだと思うよ」
少しだけ考えて、和は膝の上の毛玉を指さした。
「えぇー? なんでよ?」
どうやら逆の答えを予想していたらしく、姉は目を丸くする。
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最後のショートストーリー『目を覚ますまでは』が2/28発売の『ゲーマガ』4月号に掲載されています。
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