|

|

|
「やっぱね夏と言えば怪談なわけよ。これが数字取れるんだから、いやマジで。ホント、日本人てのは王道お約束ベタオチ大好き民族だからさーわかるっしょ?
ね? そうなんだよ、やっぱ日本の夏はこうでないとーってぇのがあるわけよ。だからさー俺らもこう、そんじゃいっちょその期待に応えちゃいましょうかってなるわけでさー、
いやマジでマジで。というわけで、日織ちゃん落ち武者やってくんない?」
「は?」
何がどう、というわけなのか。流れについていけず間抜けな声で聞き返すと、プロデューサーはそれすら聞いていたのか怪しい態度でうんうんと勝手に頷いていた。
「そーなんだよねー、怪談と言えば女の幽霊ってのが定番っちゃ定番なんだけどさー、それってもう使い古されてるっつーかホラちょっと前にブームあったばっかじゃん?
なんだっけあの井戸から出てくるやつとかさ。だからこうちょっとひねってさー」
10秒前に自分が言った事と矛盾しているような気もするが、彼は一向に気にしている様子はなかった。
「それにほら、この前映画あったっしょ。上様主演のアレ。あれでまた時代劇ブームの波が来てると思うワケよ、俺としては。テレビ屋の勘ってやつ? うん、そうそう」
|
|
|
最後のショートストーリー『目を覚ますまでは』が2/28発売の『ゲーマガ』4月号に掲載されています。
|
|