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そんなの好んで撮りたがるのはアンタだけです、とはさすがに言えず曖昧に笑いながら首を振った。
「いえ、これも珍しい事に現代劇でして」
「へえーっ、なんの役? テキ屋とかホストとか売れない演歌歌手とか?」
この人は一体どういうイメージで俺を見てるんだろう。微妙に複雑な気分になったが聞いてみる気にはなれなかった。
「それが、まだよくわかんねえんですよ。台本が届いてませんで。多分現地でもらう事になるんじゃねえかと」
「お、現地ってことはロケ?」
「ええ、なんか山奥の別荘だか洋館だか」
「洋館!?」
きらりと目が光る。なにか琴線に触れてしまったらしい。
「洋館かー、いいね洋館。そうすると大正浪漫ってやつかな。『悲劇! 山奥の洋館に没落貴族の令嬢の霊を見た!』なんてどう? どう? ちょい萌え?」
「……いえ、あの、怪談じゃねえんですが」
「なんかこう因縁とかおどろおどろしい伝説とか欲しいよねー。あと家系図? 開かずの間とかあったら最高っしょ。いやー腕が鳴るなー」
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最後のショートストーリー『目を覚ますまでは』が2/28発売の『ゲーマガ』4月号に掲載されています。
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