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のんびりした口調の運転手に手伝ってもらい、なんとか荷物を取り出した少女は、なぜかまた車内をひょいとのぞく。
「ほら、お姉ちゃん早ぅ!」
「………鞄が…」
ぽつり、と少女に似た声が聞こえた。
「もー、何をしよるんな?」
呆れたように言うと、少女は車内に手を伸ばし誰やら引っ張り出そうとする。
――えっ…。
思わず声を上げるところだった。
車内から出てきたのは、またしても少女だった。同じ顔をした少女。
――そうか。“双子”か。
登場人物の中には、確かに双子の少女がいた。てっきり一人二役になるものだと思っていたが、どうやら本物の双子を招いたらしい。
どうりで自分の覚えている少女と違う気がしたわけだ。実際別人だったのだ。
後からタクシーを降りようとしている方の少女――こちらが姉らしい――は、先に降りた少女の身軽さと相反してもたもたしている。
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最後のショートストーリー『目を覚ますまでは』が2/28発売の『ゲーマガ』4月号に掲載されています。
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