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と、姉。
「撮影班まだ来てないはずやし、執事さんいつもこう」
「……左様でございます」
姉の言葉に頷いたのを見て、妹は首を傾げる。
「いつも? 何それ?」
「特に指示されたことでもございません。ただ、私は……執事という役柄上、多少なりとも館のことを存じております。ご案内程度のことは出来ます。それに……」
「今のうちに、執事さんに慣れる稽古。他のお芝居の時もそうやった」
はっきり言われてバツの悪い顔をしていると、妹の表情がどんどん笑み崩れる。
「あっはは、なるほどねー」
姉の方はというと、わくわくした顔で妹の服の裾を引っ張って言った。
「うちもやりたい」
「はいはい、ほな今からうちは鈴奈ね。こっちは姉の静奈です、よろしく」
「……よろしくお願いします」
揃ってぺこんと頭を下げる“双子”に、平静を装って答える“執事”。
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最後のショートストーリー『目を覚ますまでは』が2/28発売の『ゲーマガ』4月号に掲載されています。
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