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ここぞとばかりに便乗してきた“斑井”に、椿はうんざりしたような目を向ける。何か言い返そうとしたようだが、それより暗石の辛らつな口が早かった。
「言っとくが、本物の執事だと思い込んだのはお前と那須だけだぞ」
「な、お、思い込んだなどと、人聞きの悪い! あれはその、演技だよ演技! ちょっとつきあってやっただけのことでだねぇ!?
「そうだったんだ。ぼくは本物の執事さんだと思ったけどなあ」
焦って妙な言い訳をする斑井とは対照的に、照れる様子もなくあっさりと笑う那須。
「き、君のような脳まで筋肉で出来てそうな男と一緒にしないでくれたまえ」
「脳が筋肉だと困るよね、どうやって鍛えればいいんだろう?」
「私に聞かれても知らんよっ!?」
話が盛大に逸れていっているようだが、言い合う二人はどうやら気付いていない。側にいる暗石も、訂正してやるどころか関わってやる気がないようで、聞こえないふりをしている。
「……車の音がしませんでしたかい?」
「見て参ります」
日織の言葉に、椿は素早く反応した。こちらも関わりたくなかったらしい。
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最後のショートストーリー『目を覚ますまでは』が2/28発売の『ゲーマガ』4月号に掲載されています。
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