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「うちもー」
そう言って、静奈がソファから立ち上がる。やれやれと鈴奈も後を追う。
静奈は誰か来るたびに玄関まで見に行く。どうやら執事に対する各人のリアクションが見たいらしい。
斑井と那須は、彼を本物の執事だと思った。暗石は苦笑して「気の早いヤツだな」と言った。日織は双子同様、気付いていながら調子を合わせた。
今来た人物はどんな反応をするだろう。
双子が執事に追いついた時、彼は玄関の巨大な扉を開いたところだった。激しい雨の帳の中に浮かぶシルエットは、傘を差した女性のようだ。
「御陵さんや」
と、静奈。ここに招かれた役者の残り二人は、男女が一人ずつだということだけはわかっていた。女性である以上、あれは“御陵”なのだろう。
御陵は扉が開かれたのを見て、少し足を速めた。
「ごめんなさい、お待たせしてしまいました?」
「いいえ、時間どおりです。いらっしゃいませ、御陵さま」
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最後のショートストーリー『目を覚ますまでは』が2/28発売の『ゲーマガ』4月号に掲載されています。
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